ひきこもり体験談 インタビューレポート

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2019.03.09

中学生の時期に引きこもった経験をもつ、現在は通信制の高校1年生(18歳/女性)の方にインタビューをさせていただき、ひきこもり体験談としてまとめさせていただきました。ご本人は現在、祖母の家で二人暮らし。
ひきこもっていた当時は、大体まいにち昼まで寝て、夜中は起きるという昼夜逆転の生活だったそうです。
毎日していたことはスマホゲームと睡眠……たまに家事をして、イライラしているときは部屋から一歩もでないこともあったとのこと。

以後はご本人のお話しをまとめて、ご本人に内容を確認していただいた一人称のエッセーとなっています。エッセーの後に、私自身が感じたことを少し書かせていただきました。

ひきこもりになった経緯

 中学生にあがってしばらくしてから両親の離婚話が出た。
本心は別れてほしくないが、二人を見ているとやはり無理なのかもしれないということも思ってしまい自分の中で無限ループが続いた。
別居に落ち着き母親のほうにいったが、離婚話をした母親への抵抗のために1週間休んだ。
その前にもインフルエンザにかかり、1週間弱休んだ。
それから学校に行き辛くなったが吹奏楽部の顧問の先生とも仲良かったこともあり、保健室登校ならぬ音楽室登校をした。

しかし、ある日の帰り道に所属していた「よさこいチーム」の役員さんと出会い、優しく言葉をかけてくれたのだが、それ以来、余計に外に出られなくなった。
中学2年生の2学期の始業式から、学校に一切行かなくなった。
外に出たら、手汗、動機、誰が見てもわかるくらい顔色が悪くなったそうだ。ひきこもりの期間は4年弱。

ひきこもりではなくなったきっかけ

 今年の3月ふとバイトをしたくなった。
履歴書を買ってきて学歴の欄を記入しようとした際に、中卒しか書けないことに気づき、高卒という肩書がほしくなった。
そこで、通信制の高校のパンフレットを取り寄せたところ、直接電話がかかってきて、4月入学に間に合うと連絡がきたので、説明会に参加して入学手続きをして4月より登校を開始した。

 最初の頃は電車や地元を歩くのにマスクが必要だったが、最近はマスクなしで出歩けるようになった。
中学のころと違って週に2回しか行かなくていい上、課題をしたり好きなことができるので楽であり、空いた時間は遊びに行ったりバイトをしたりなど自分の時間を作れる。
また、引きこもってる間に「自分はこのままでいいのか」という自問自答したり、客観的に物事を見るような習慣もつき、そういった下地もあって外の世界へ一歩踏み出すようになった。

ひきこもりではなくなったきっかけ

 意外と学校でのカウンセリングがとても苦痛だった。
カウンセリングは主に対象者が自分の悩みを話して、それに対してアドバイスを受けるのが基本だが、その時は自分のことを一切話したくなかった。

 さらに母親からの話もつらかった。
外に出たくもなく誰とも話したくないのに、様々な高校の資料をほぼ毎日渡されてあちこち連れていかれそうになることもあった。
やはり母親の中にある引きこもりの負の概念がそうさせたのではあるが、ただ傷口をえぐり続けているだけであった。 

 逆に周りにしてほしかったことは、本人が外に出る(学校に行くなどの)時に様々な支援だった。特に金銭的な支援である。引きこもりの間はバイトなどできていなく、いざ学校に行こうにも資金が足りないなどの問題がある。私の場合は父親が自分の状態に理解があり、高校に行きたいというと、「行きたいなら行けばいい。金はだす。」と二つ返事で了承してくれた。

今の学校現場に対して思うこと

 引きこもりがちの子がクラスでできると、必ずと言っていいほどクラスの仲がいい子たちに手紙を書かせたり家まで行って誘って来い、といった指令を先生が出す。それはその本人によりプレッシャーを与えるだけだ。
せっかく家まで来てくれたのに居留守を使ってしまった、誘われたのに合わせる顔がないなど、悩み事を増やさせるだけ。

また学校からの手紙にも「学校においで」「みんな待ってるよ」など書いたりするが、一番言ってはいけないことだと思う。
本人からすると「偽善者め」と思ってしまう。手紙自体はうれしいが、そう書かれているとストレスを感じるものだ。
そうやって書くのではなく「体調はどうか」など直接学校と関係ないことや「今日○時間目の授業で○○君がこんなギャグ言った」など面白かったことなどを書いてくれると、気持ちも楽に読めると思う。

また根本的に固定概念を変えてほしい。
引きこもっている方が悪いから学校に来なさい、学校に来たほうがいいという概念を変えてほしい。
さぼっているわけではなくいけない理由があるから行っていないだけ。学校側はまさか自分たちに何かしらの原因があるとは思っていないので、生徒に迎えに行かせたり手紙を書かせたりして、なんとか心境の変化を図ろうとしている。
しかし実際は、手紙をもらっても「私なんかのために手紙を書かせてしまった、時間を割かせてしまった」という自己嫌悪に陥らせるだけだ。
そういう面では手書きのものではなく、携帯のメールやLINEのほうがずっと気持ちも楽だ。

今の学校現場に対して思うこと

 私もそうだが、「引きこもり=負のイメージ」がついていた。
学校やクラスの対応は今まで悪くないと思っていたが、まさか知らないうちに余計に追い詰めていたとは思わなかった。
手紙を書くことにも違和感はなかった。先生のいうことを信じて疑わなかった。

 世間では引きこもりの人をなんとか外に出そうと色々しているが、最終的には本人次第なのである。
本人が外に出たければ自分で出てくるし、出たくなければ周りがなんと言おうが出ないのである。
今回のインタビュー協力者の場合は、バイトしたいと思って出てきたのを周りがサポートしたおかげで、今回こうやって初対面の私にもいろいろ話してくれる機会を作ってくれた。
在宅でもできることはたくさんあるので、外に出ていろいろすることだけがすべてではないということを、もっと知らせていかなければならないと感じた。

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